TOPページ > コンテンツページ > 革製品の用語辞典[な行]



ナショナル ジオグラフィック





革製品の用語辞典[な行]


ナイルオオトカゲ

学名はVaranus niloticus。有鱗目オオトカゲ属に属するトカゲ。
アフリカの西北部の砂漠地帯を除き、ナイル川の流域から南アフリカにかけて広く生息している。アフリカトカゲともいわれている。 ミズオオトカゲと同様サイズも大きく利用価値がある。背部の斑紋は小さな点状でミズオオトカゲのような特徴のあるリングマークが ないために多くは斑紋を除去した革に仕上げられている。皮の主な輸出先はヨーロッパ方面でフランス、イタリアなどが中心。 ハンドバッグ、靴、ベルト、小物の素材として使用されている。

  ≪ナイルオオトカゲ≫

ナイルワニ

学名はCrocodylus niloticus。商業名はナイルクロコ。ワニ目クロコダイル科クロコダイル属に分類され アフリカの淡水の沼や河川に生息する。現在、多くのアフリカの国々で養殖されているが、特にジンバブエ、南アフリカ、ザンビアなど 南部アフリカで大規模に養殖されている。
腹部の鱗は細かく、長方形の鱗板が腹部全体に整然と並んでいる。 横腹の鱗は丸みのある長方形でその巾はほかの種類より狭いのが特徴である。革はハンドバッグ、ベルト、時計バンド、小物などに広く使用される。ワシントン条約付属書Uにリストされている。
  ≪ナイルワニ≫

ナッパ(革)

アメリカのNapa地域で作られていた革が語源で明ばん鞣し後、植物タンニン又はクロム鞣剤により再鞣しされた手袋や 衣料用の山羊革や羊革のこと。強じんで柔らかく光沢がある。現在では柔軟で強じんな牛革を指すことが多い。

生皮

と体から剥いで、保存処理を施していない生の皮。血生<ちなま>又は血生皮<ちなまがわ>ともいう。
腐敗しやすく剥皮直後から酵素による自己分解、細菌による皮質の劣化が始まるので良質な製革用原料確保のため早急に 保存処置を行うことが大切である。
生皮という場合、塩生皮のように施塩したものまで指すこともあり、これは乾皮あるいは革に対して 称される用語である。同じ生皮でも「きがわ」という時は、 脱毛後鞣さずに乾燥した皮を指す。

生皮重量

剥皮してトリミングした生皮の重さ。動物種によって異なるが、食肉生産においてと畜されるステアの標準トリムした生皮重量は 体重の約7%で、カーフでは12.5%ぐらいである。塩蔵における収縮率を算出する基礎重量となり製革業にとって重要な指数の一つである。

なめし

人類が地球上に生存し始めたときから動物皮を防寒用、居住用テント、そのほかの生活用品として利用していたことは明らかである。 エジプト・テーベンの遺跡で発見された紀元前の壁画は製革技術がかなり普及していたことを物語っている。
また、動物皮の線維をか(噛)んで柔軟にしている絵もよく紹介されている。さらに、わらや雑木などの煙で皮をいぶ(燻)したりして 腐敗しないようにして皮の鞣しが始まった。日本でも古来より伝わる鞣し方法に、菜種油を用いて鞣す“白鞣し革”や動物の脳しょう鞣し革、 くん(燻)煙鞣し革などがある。
鞣しとは動物皮のコラーゲン線維を精錬純化して、この線維を鞣剤<じゅうざい>によって処理し定着固定し繊維にする。 必要に応じて、染色、加脂を施し、柔軟にする作業を総称している。さらに耐久性やファッション性を付加するため、革の表面に塗装仕上げなどを行う。 これらの工程を施すものを製革工程といっている。鞣しの方法として古くは剥皮した動物皮を乾燥したたいたり、擦ったり、もんだりして線維を解し、 いわゆる物理的処理によって行われた。その後、煙でいぶしたり動植物の油を塗ったり植物の浸出液に漬け込んだりして柔らかくして 線維を柔軟にしていた。近年は、一般的にクロム鞣しが最も多く普及しており植物タンニン鞣しやアルデヒド鞣し、そのほかの鞣し方法があるが、 最も多く使用されているのはクロム鞣しと植物タンニン鞣しである。
現在、鞣しの定義として動物皮の線維構造を保持し化学的、物理的操作により、種々の鞣剤を用いてコラーゲン線維を不可逆的に 安定化させることである。その主な要件として、次の 3つの要素が挙げられている。
1) 耐熱性を付与すること。コラーゲン線維を化学的に架橋することにより安定化させると耐熱性が向上する。鞣剤の違いによって耐熱性が異なるが、 これは鞣剤による化学結合の違いを反映している。
2) 化学薬品や微生物に対する抵抗性を付与すること。
3)皮に必要な物性と理化学的特性を付与し、いわゆる「革らしさ」を与えることである。すなわち、柔軟性、特有の感触(ヌメリ感など)、 美しい銀面、多孔性(保温性、吸湿性、放湿性)、耐水性、耐熱性、適度な可塑性や弾性や耐久性などの優れた性質をもった革になる。
漢字の「鞣」は「革」と「柔」とからなっており、皮を柔らかくするということが、“鞣し”の定義となることがうなずける。
鞣剤の種類は多く、クロム、植物タンニンのほか、魚油などによる油鞣し、アルミニウム(明ばん鞣し)、ジルコニウム、アルデヒド類や植物タンニンを 真似た合成タンニンなどがある。一般にはこれらの鞣しを併用したコンビネーション鞣し(複合鞣し)が行われているが、クロム鞣しを基本とした鞣しが 最も多い。
 ≪動物皮を噛んで柔軟化≫    ≪中世のヨーロッパにおける皮革加工≫

肉牛

食肉生産を目的とするウシ。アバディーンアンガス種、ヘレフォード種、ショートホーン種、シャロレー種、サンタガートルーディス種が有名である。 体形は、足が短くずんぐりして、前、中、後軀が均等に発達して長方形をしている。 したがって、その皮は首、足、腹部が少なく長方形に近い形となり取り扱いやすい。また、厚さが均一で、皮質の密な良い原皮となる。

ニューギニアワニ

学名はCrocodylus novaeguineae。ワニ目クロコダイル科クロコダイ属に分類され、パプアニューギニア、インドネシアの淡水に生息する。 腹部の斑は正方形に近く、斑の大きさはイリエワニより大きいので、イリエワニのスモールクロコに対してニューギニアワニはラージクロコと呼ばれている。 皮は日本に古くから輸入されているため、日本に一番なじみのあるクロコダイルである。革は、ハンドバッグ、ベルト、時計バンド、小物などとして広く使用されている。
 ≪ニューギニアワニ≫

乳牛

牛乳を利用するために飼育されるウシのこと。
現在我が国の乳牛のほとんどはヨーロッパ乳牛に属するもので、乳用専用に改良されたものだけでなく乳肉兼用目的に改良されたものなどさまざまである。 我が国ではホルスタインが乳用専用としては主体である。乳牛の体形は前く(軀)に比べて中、後くが長大でクサビ形をしている。 したがって、その皮は肉牛のものよりも薄く、広がった形となる。こう(膠)原線維の交絡状態は肉牛に比べて劣り、ことに腹部はルーズである。 しかし、大きさや銀面がきれいなものがとれるので要求が多い。

縫い糸

裁縫用の糸。靴の甲部の縫い糸と座部の縫い糸に大別される。甲縫い糸はポリエステル繊維、ナイロン、綿及び絹が製甲に用いられる。 座縫い糸は麻又はビニロンが用いられ、底付け作業ですくい縫い、出縫い<だしぬい>や底縫いに用いられる

縫い返し

鞄やハンドバッグの仕立ての一つ。材料の表面同士を重ね合わせ、裏面から縫い合わせた後、表面が外側に出るように慎重に返す工法。

ぬかなめし

広義の油鞣しの一種である。近代以前には毛抜き、裏筋除去までの前処理をも鞣しの領域に入れていたため、 ぬかを水に分散した液に毛皮を浸け込み発酵で毛根の腐敗を促進する過程を指す場合と、本来のもみをともなう加脂工程を指す場合の2通りがある。 前者の代表は太鼓皮の脱毛であろう。これは半鞣しともいわれている。蹴まり(鞠)<けまり>用の鹿皮の場合も塩、ぬかを水で練ったものを塗布するが、 反発力を保つためにももみの作業は行わないので前処理に分類してよいかもしれない。後者の代表がぬかにわら(藁)などの灰汁<あく>を加えた鞣しであろう。

ヌートリア

ネズミ目ヌートリア科に属するほ乳類の一種。ケッ歯類、野生と養殖がある。毛皮は、刺毛が長く、粗毛であるが、 綿毛が密であるので刺毛を抜いてオットセイ毛皮の代用に用いられる。ほかの毛皮と異なり、背面より腹面が密で良質であるので、背割りして用いられる。 南米、北米、欧州に産する。

ヌバック

銀面を軽くサンドペーパーでバフィングすることで短く毛羽立たせて仕上げた起毛革。 スエード、ベロアに比較すると毛羽が非常に短くビロード状態を呈している。雄鹿革を同様に仕上げたもの(バックスキン)に似ていることにその名が由来する。 靴の甲革、ハンドバッグ用革などに使用する。

ヌメ革

牛皮の植物タンニン鞣し革で、底革ほどタンニン剤を充填せずに、比較的軽い鞣しを行う。 通常、半裁革で鞣され、乾燥後に染革工場で必要な厚度に漉き、染色、加脂工程や仕上げ工程が施されてベルト、鞄、小物用革やレザークラフト用革となる。

ぬめり

革の触感を示す用語の一つ。ぬめり感、シルキータッチという表現で革の風合い評価の一要素である。
革の表面を手で触ったとき、なめらかで、柔らかさを伴ったしなやかな感覚で、油っぽく、しっとりとした手にすいつくような感じを指す。 革の風合いには、適度のぬめりが必要である。革を製造する過程で、加脂剤、仕上げ剤の種類や量を調節して、ぬめりを出すようにする。

ネイティブハイド

原料毛皮の保存のために板に張って乾燥すること。 また毛皮衣料の縫製工程において背、前、袖、カラー部などに裁断した毛皮を型紙に合わせて板に張り、型くずれしないように成型することをいう。 製革では板張り乾燥をいう。

ネック

皮の部位の名称で、首の部分。原料皮では頭部やショルダーを含めて指すことがある。

ネット張り

革の乾燥成形方法の一つ。トグル張りともいう。
穴のあいた金属板上に、革を四方から引っ張りながらレザートグルという金具で固定し、整形する。
一般的には、@尾の基部を固定し、A背線を伸ばし、B頭の端を止め、Cこれを基にして斜めに引っ張り前足、後足部分を止める、 D次に腹部を引っ張り固定する。これを乾燥室に入れる。通常はガラ干し、味入れ、ステーキングを施した革に適用する。

ネット張り乾燥機

革を同定し乾燥する装置の一つ。
穴のあいた金属板又は網の上に、革を四方から引張りながらトグルという金具で固定し、これを乾燥室に入れ乾燥固定する。 金属板(又は網)が滑走部のレール又は引き出し式により乾燥室に出入りできるよう設計してある。
 ≪ネット張り乾燥機≫

ネン引き

鉄製のへラを熱して、皮革の表面に直線状の当たりをつけること。
切り目仕立てのバッグや小物類に、シックな高級感をもり上げるためヘリとミシン目とのわずかな空間に微妙なネン引きを入れ、一種の額縁効果を表現する。
また、へり返し*仕立ての革小物にヘリに平行してネン引きを入れヘリ返し作業の乱れを整えると同時にアクセントをつけることが多い。
ネン引きに使う工具を慣用的に「ネン」と呼ぶが、作業目的に従って先端の型が微妙に変化し、それぞれ飾りネン、玉ネン、へリネン、一本ネンなどと呼ばれる。

脳しょう(漿)鞣し

鹿皮の上毛のみならず銀面層まで除去し、一年ほど熟成させた動物の脳しょうを塗布あるいは湯に溶かした液へ漬け込み、 さらにもみと乾燥を繰り返す鞣製法を指す。
昭和40年代の中頃までこの鞣しが行われた。印伝革で指摘されている通り銀面を除去しない鞣しもあり、さらに除去方法(せん(剪)刀、鋸刃など)及び除去した後の 皮面の処理方法(焼きごて(鏝)、ブラシ掛け、サンドペーパーなど)によって質感の異なる仕上げとなる。 姫路白鞣しとならんで10世紀前半の『延喜式』にともに概要が記されており、歴史的に古い鞣し法である。 脳しょう鞣し革の持つ柔軟性は、脳しょう成分であるリン脂質や鹿革線維の特性とへら掛けによって生じる線維束が解かれた状態が作り出すものである。 一般には脳しょう鞣し革を白革<しらかわ>という。この白革は、さらにくん(燻)煙鞣し(現在、加工上の実際の目的は着色である)が行われ、 加工前の印伝革となり、漆加工や縫製等をして印伝となる。

ノニルフェノール

ノニオン性界面活性剤の一種であるノニルフェニルエトキシレートや酸化防止剤のTNPP(亜リン酸トリノニルフェニル、trinonyl phenyl phosphite)の 原料。皮膚刺激性や内分泌攪乱作用が疑われているが、経済産業省の「ノニルフェノールの有害性評価」では人の内分泌系と生殖系への影響に関する報告はないと 記載されている。
ノニルフェニルエトキシレートは工業用の洗浄剤、分散剤として使用されているが、環境中において微生物分解性は低く、また内分泌攪乱作用の疑いが持たれている。 業界の自主的取り組みとして、ノニルフェノールエトキシレートからアルコールエトキシレートへの転換が進められている。

伸ばし(セッティング)

伸ばし作業。革の乾燥工程の前処理として、染色、加脂後の湿潤革を伸ばし、表面を平滑にすると共に水分量を減らし、形を整える作業をいう。 一般に適度な水絞りを行った湿潤革を古くはスリッカーを使って手で行っていた。最近ではもっぱら機械で伸ばし、このあと吊り干しあるいは真空乾燥を行う。

伸ばし機(セッティングマシン)

通常、染色、加脂後の湿潤状態の革を、しわなどを伸ばして銀面を平滑にする機械。 ローラー型、テーブル型があるが、近年、後者にも複数の刃シリンダーと複数のローラーを備えた効率を向上したタイプが開発されている。 ローラー型セッティングマシンは、複数のローラーと刃シリンダーで革をはさむようにして操作する。中央からV型に左右両側にらせん状の鈍刃をもつ刃シリンダーで 銀面をさばくように伸ばす。ローラー型はフェルトの套管<とうかん>を備えているので水絞りも兼用でき、サミング・セッティングマシン)とも呼ばれる。 往復で革を処理するリバースタイプもあり、最終仕上がり革の面積収率と銀面の肌目に大きな影響を与える機械である。
≪セッティングマシン≫   ≪テーブル型・通し送りタイプセッティングマシン≫

伸び

革の伸びのこと。線状の伸びと面積の伸びがある。前者の測定には一般に引張試験機が用いられ、後者の測定には銀面割れ試験機、 半球状可塑性試験機、テンソメータなどが使用される。
革は部位により繊維方向や組織を異にするため、伸びも異なる。腹部は繊維組織がルーズなため、ほかの部位より伸びが大きい。 繊維方向に平行よりも垂直に伸ばしたとき良く伸びる。 革の伸び特性は破断又はき裂が生じたときの伸び(切断時の伸びなど)で表現することが多いが、一定荷重における伸びを測定することもある。







ページトップへ戻る