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革製品の用語辞典[た行]


耐光性

光による劣化に対する抵抗性。自然環境の中で受ける影響の中で、光による変化が比較的大きく
特に紫外線による作用が大きい。天然繊維をはじめ合成繊維も多かれ少なかれ、光による分解で黄変したり
強さが低下したりする。光に含まれる紫外線や青色の可視光には、漂白、酸化作用があり、染料や塗料の退色を引き起こし
さらに長時間照射すると、銀面や仕上げ塗膜が劣化する。光に対する抵抗性を推測するために、劣化を加速するような紫外線
サンシャイン、キセノン、カーボン、蛍光灯など人工光でばく露試験を行うのが普通である。

耐水性

革などが水と接触したときに、吸水量が少なく、水が透過しにくく及びその物性や外観などが変化しにくいこと。
革製品は常時、全面的に水と接触することは少ないので、主として一時的若しくは局部的な水との接触(例えば雨や水滴など)に
よる変化の有無が問題になる場合が多い。革塗装面が水に接触したときのしわ、膨れ、割れ、はがれ、艶の減少、くもり、
変色、水を吸い込んだ部分の革の変形、硬化、起毛革の場合の毛羽のこう(膠)着などが耐水性を評価する主なポイントである。
革は本来親水性が高く、水に濡れやすい。そのまま乾燥すると繊維同士がこう着し、風合いの変化、面積収縮、変形などが生じやすい。
これはコラーゲンの親水性が高く、かつ皮革製造工程で親水性の薬品を多く使用しているからである。革に耐水性を持たせるには
加脂剤、フッ素化合物や表面の仕上げ剤などで革繊維を疎水性にしたり、空隙を充填したりする方法がある。

耐熱性

一般には材料を加熱したときの性状、寸法、物性、外観などあらゆる理化学的性状の変化のしにくさをいう。
革では、革タンパク質本来の分子構造が加熱するとある特有な温度(液中熱収縮温度、Ts)で崩壊してゼラチン化したり
繊維が収縮や変形したりするので、この意味の熱安定性をさすことが多い。皮革の耐熱性は水分によって大きく異なり、
水分量が増えると低下する傾向がある。
クロム鞣しにより湿潤状態での耐熱性は顕著に上昇するので、革の耐熱性(特に湿潤耐熱性)は鞣しの度合いの尺度として重要視されている。
例えば、表に示す動物の生皮の熱収縮温度は53〜67℃程度であるが、クロム革は100℃以上になることが多い。
また、鞣し剤の種類によって熱収縮温度は大きく異なり、クロム鞣し革が最も高い。
一方、乾燥状態では鞣しの種類に関係なく熱収縮温度は高く、標準状態(相対湿度65%、温度20℃)で皮革製品の水分量は約14〜15%であり、
このような状態の耐熱性は靴の製造時、甲部の釣り込み成型などで重要な性質である。乾燥時の耐熱性を評価するために耐乾熱性試験がある。

多脂革

植物タンニン鞣し革にスタッフィングにより多量の油脂を含浸させた革をいう。ろう分が白く浮き出てくるが、布で磨くことで光沢が得られる。
馬具用革と同義に用いることもあるが、これよりも柔軟で薄いものを指す。

タッセル

靴の房状の飾り革。スリッポンなどの甲に革を丸め先端を房状にした飾りを一対にして縫い付けたもの。
タッセルスリッポンとかタッセルローファーと呼ばれている

ダブルステッチ

革レースでかがるときの技法の一つ。シングルステッチで一目ずつかがるとき次の一目をかがる前に一つ手前にある目のレースの内側に
レースを通してかがることで2重にかがる。シングルステッチよりもしっかりとしており、ボリューム感がある。

玉(革)

鞄やハンドバッグなどの仕立てで縫い返し作業の際に、縫合する二枚の材料の間に、表皮を表にして二つ折りにして、
挟み込む細いひも状の革。ミシン糸が露出するのを防ぐと同時に、はぎ合わせラインにアクセントをつける装飾的な役割もある。
玉革のなかに、繊維製のひもやひも状のゴム芯を入れて、太さを強調することもある。この場合は「太玉」と呼ぶ。

タンナー

製革業者又は皮革製造に携わる人のこと。皮を鞣すという英語のtanに由来する。
近年は製革業者というより、タンナーという言葉がよく使われている。

タンニン

植物の果実、種子、葉、樹皮、木部などに含まれる収斂<しゅうれん>性のある物質で、フェノール基を持つ芳香族化合物。
タンパク質を凝固させる働きから皮の鞣しのほか、金属との呈色反応を用いたインキや染色など種々の目的に利用される。
酸又は酵素により加水分解される加水分解型と、分解されない縮合型に分類される。

タンニンなめし

植物タンニン鞣しを参照

タンポ染め

綿布を布に包んで丸く縛り、手で持ちやすくしたもの(タンポ)で染色する技法。
染料液を含ませたタンポで革の表面をふき込みながら染色する。刻印や浮き彫りをした凸部分への染色に効果的である。
革の表面にアンティーク模様を付けるのにも使用する。

チェス(ト)ナット

ヨーロッパチェストナット(Castanea sativa mills.)やアメリカチェストナット(Castanea dentana. fam. fagaceae)の木の、
木質部から抽出される植物タンニンエキスで、加水分解型に属する。収れん(斂)性と日光堅ろう性が強く、また多くの有機酸を含むため、
ほかの縮合型植物タンニン剤と併用して使用されることが多い。

畜産副生物

尾、豚足などが、後者には、脂肪、骨、皮、足、血液などが含まれる。非食用副生物は肉粉、タンケージ(tankage)、血粉などの形で鶏や
ブタのタンパク質飼料として、あるいは骨粉の形で肥料や飼料として利用されている。
なお、畜産副生物と原皮を合わせて家畜副生物(animal by-products)と呼ぶこともあり、その量は生体の約50%を占める。

血筋

革となってから銀面に現れる血管の跡。革の欠点の一つである。血管周囲の繊維の密度と走行が周囲と異なるため最終製品革に
筋状の不連続な異常部分が現れる。発生原因としてウシの品種、原皮の鮮度不良、栄養状態、原皮の鮮度不良、
製革作業(石灰づけ、グレージング、アイロンかけなど)の条件などが関係すると考えられている。床革にも血筋の跡が多く現れる場合がある。
  ≪血筋≫

チタンなめし

チタン塩を使用する鞣し方法。アンモニウムチタン硫酸などの複塩が用いられる。チタン塩による鞣しはジルコニウム塩と類似の性質を持ち、
わずかなpHの上昇で沈殿を生じるのでクエン酸などをマスキング剤として使用し、鞣した革はやや黄色がかった充実性のあるしまった銀面となる。
非クロム革の複合鞣しやクロム革の再鞣しに使用される。

茶利革(ちゃりかわ)

チャールス・ヘンニクル氏の指導を受けて製造した革。明治初期において、日本の皮革製造技術を向上させるために海外から技術者を招へいし
指導を受けた。技術者の名前から「ちゃり革」と呼んだのが始まり。薄いぬめ革を柔らかくもんだ革で、鞄の素材として利用されていた。
また、クロム鞣剤とのコンビネーション鞣しを行って軍靴<ぐんか>の甲革として使用していた。
明治時代、茶利革はお歯黒と同様に、鉄漿≪かね≫とよばれる鉄の酢酸溶液で黒色に染色されていたことがあった。
現在では牛皮やインド産ゴートクラストを植物タンニンで鞣し又は再鞣しした後、種々の化学染料で染色し、
手もみでしぼを立たせて製造されている。
  ≪茶利革≫

チャンチン

東南アジアなどで更紗染め(ろう染め)に使われているろう引きの用具で、点、線描きに用いられる。
ろう筆と違って、一定の幅のろうが口元から流れ出るため模様が自由に描け、作業性もよいため古くから使われている。
チャンチンはレザークラフト関係のカタログには掲載されていないが、手芸店で購入できる。
  ≪チャンチン≫

彫刻法

革彫り法ともいう。彫刻刀などで革の表面を彫り込み、模様を表現する技法。

直接染料

植物繊維(セルロース)に媒染剤を使用することなく染着する性質(直接性)をもつ染料。
一つ以上のスルホン酸基(-SO3H)を有し、直線性、同一平面性が強い分子構造を持つ染料ほど直接性が強い。
酸性染料と化学構造が似ていて、タンパク系繊維にも良く染着するタイプもあるが、直接性が強いものを直接染料と呼び、
酸の添加により染着する酸安定性が強いものを酸性染料と呼び区別している。革にも良く染まり、酸性染料より濃色で
表面染着性の染色が得られることが多いが、革の場合には両者の区別は余り重要ではない。

艶出し

革に光沢を付与すること。製革工程での艶出しにはグレージングとアイロンがけがある。
革製品の艶出しには、ワックスやアクリル系樹脂などを含む仕上げ剤を塗布して乾燥するか、
又はこの後布や刷毛で摩擦することが多い。

テキサスステア

コロラドステアと同様に、横腹あるいは尻部又はその両方に焼き印があるが、
重量の割に面積の小さい去勢牛皮。テキサス地域とは無関係である。

鉄なめし

3価の鉄塩による鞣し。例えば硫酸第2鉄を用いて鞣す方法がある。3価の鉄塩の水溶液は不安定なので、
酒石酸、クエン酸などの有機酸塩をマスキング剤として加えた化合物が鞣剤として用いられる。
2価元素のFeをもつ第1鉄塩には全く鞣す効果がない。近年になってクロムフリーの要求が強い自動車用革としての開発が行われている。
鞣した革の色調からウエットブラウンと呼ばれる。まだ革の物性、色調が劣るので実用化されていない。

手縫い

革などを糸で縫い合わせる技法。ち密な手作りの味わいのある製品ができる。
基本的な技法に平縫い、すくい縫い、おがみ合わせ縫い、駒合わせ縫い(斜め縫い)がある。縫い目はミシン縫いと似ているが、
上糸と下糸の区別がなく、上と下の糸が縫い穴で交互に入れかわる。
厚い革の場合は、縫い線上をステッチンググルーパーなどで溝をつけ、その溝にルレットで縫い目の間隔の印をつけ、菱目打ちで穴をあけ
ろう引きした麻糸か木綿糸で革用の(先の丸い)針2本を用いて縫い合わせていく。この時に木ばさみ(レーシングポニー)を使用すると便利である。
手縫い機を用いることもある。ミシンで仕立てることがあるが、家庭用ミシンでは薄く柔かいものであれば縫える。
しかし、機種によっては全く縫えないことがある。革をミシンで仕立てるのであれば工業用の厚物用ミシンで押さえ、
送りの構造が革に適していなければならない。職業用ミシンも工業用ほど力はないので目的によってはミシン業者に相談する必要がある。
  ≪手縫い≫

手ひも(紐)

ハンドバッグなどを提げて使うために設置されたベルト状のひも。型状によって、平手、丸手、袋手、ゴム手.編み手などがある。

天然染料

動植物体から分離された色素で繊維に対して染色性のあるもの。天然染料は、昆虫、貝類などから色素を採る動物染料と、
葉、花、樹皮、根などから色素を染料として利用する植物染料に分類できる。また厳密には染料ではないが、鉱物や植物のエキス化した顔料も
利用されている。動物染料は、サボテンに付く虫のコチニール、貝殻虫の一種のラッグダイ、ムラサキガイから得られる古代紫など
ごくわずかしかない。天然染料のほとんどが植物より抽出している。
植物染料として、藍<アイ>、サフラン、ベニバナ、へマチン(ログウッド)、アカネ(茜)などがあり、天然染料が「草木染め」とか
「植物染料」と一般にいわれている由縁である。
染色方法は、クチナシやウコンのように無媒染のもの、天然の灰汁<あく>、鉄漿、泥及び鉄、アルミ、錫、銅、クロムなどの
金属塩を利用した媒染染色、および藍染めのように還元染色する方法がある。天然染料は、一般的に合成染料で染色したものに比べて
堅ろう度が低く特に日光、水、摩擦、酸、アルカリ、金属に弱いという欠点がある。

トカゲ

学名はSauria/Lacertilia。有りん(鱗)目トカゲ亜目に分類される構成種の総称。小形の恐竜ともいわれる。
世界中に数多くの種のトカゲが生息しており、その数は16科383属3751種とされている。トカゲを含む、は虫類には独自のうろこ(鱗)のほか
身体全体にその種独特の斑紋、模様を有している。この特徴のある斑紋を活かす方法と薬品処理により除去しうろこのみを活かす方法がある。
トカゲの革は独特の鱗模様が好まれ、は虫類皮革の中でもポピュラーな素材として人気があり、幅広く各種の革製品に活かされている。

特定動物

日本の法律である動物愛護管理法の規定に基づいて、人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物として
政令で定められる動物種のことである。 ただし人に害を与えるおそれのある生物であってもそれが水中でしか生きられない場合
(例:サメやシャチ)や、哺乳類、鳥類、は虫類以外(例:スズメバチなど)は特定動物とはみなさない。

床皮、床革

皮を銀面(皮の表面側)のついた層と、その下層部分に水平に分割したときの下層部分。
分割にはスプリッティングマシンが用いられる。未石灰漬け皮から得られたものを生床皮、石灰漬け皮から得られたものを
石灰床<せっかいどこ>(lime split、white split)、厚鞣しのクロム革から得られたものを青床<あおどこ>(blue split)という。
製革原料としては価値が低い。かつては作業用手袋に多く使用されていた。現在では表面を厚く塗装し、銀面様プラスチックシートを
積層したりして様々な用途に利用する。ベロア様に起毛させたものは 床ベロアという。なお、分割後の銀面側をグレインスプリットともいう。

床スエード

皮を銀面又は肉面に対して平行に分割した床皮を使用しベルベット様の起毛革に仕上げた革。
牛皮の床皮を利用したものが多い。スエードに比べ、毛羽の長い床ベロアとは区別している。

床ベロア

成牛床革の肉面をサンドペーパーなどで毛羽立たせたソフト調の革。
ベルベット様の毛羽に仕上げた床スエードに比較してやや毛羽が長い。

トップコート

 1)革:革の仕上げの最終塗装をいう。革の外観を整え、物理特性を高めるために比較的硬い樹脂が使用されることが多い。
 2)靴:甲革仕上工程の最終段階で使用される仕上剤。甲革の光沢を調整し、風合い、色調の深み、平滑性などを与え、
 さらに耐水性、耐摩耗性などの物性を強化するために各種のタイプが使用されている。主にワックスと、各種バインダー成分から構成された
 水性型が用いられ甲革の素材と仕上の狙いなどにより使い分けられる。最も一般的にはスプレーで使用されるが手ぬりで仕上げられることも多い。

トリミング

皮及び革の不要な部分を切り整えること。原皮のトリミングでは、四肢の長さが、蹄のつけ根まであるものをロングトリム、
膝関節までのものをショートトリムという。製品革では特に縁裁ち<えんたち>と呼ばれ、ナイフ、包丁、ハサミなどで行う。
トグル張り及びガラス張り乾燥した革は仕上げ塗装工程に入る前に、乾燥で硬くなった縁部、トグル張りのはさみ跡、
頭の先とか腹部の極端に薄い部分を切り取り革の形を整える。

止め金(留め金)

主にかぶせつき鞄やハンドバッグなどに使われる止め具の総称。止め方の仕組みや開閉の際の指の動作から、
「ヒネリ」「起こし」「ツマミ」など、それぞれ慣用的な呼び名がつけられている。
かぶせの表面からは見えない部分に使う、「マグネットホック」「ホック」もある。

トラ

首から胸の銀面に存在する生体時のシワのことで、コラーゲン線維の精製が不十分なときによく見られ、トラシワとも呼ばれる。
セッティングマシン(セッター)によって革に張力をかけて引き延ばしながらシワをとる方法があるが、
完全にシワをとることは困難である。

豚毛(とんもう)

ブタの剛毛。主としてブタの湯剥ぎの副産物として生産される。太く強じんで湾曲が少ないのでブラシの材料などに利用される。







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